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執筆者の写真Dr. K. Shibata

「論文の書き方」から研究を考える

更新日:2023年3月16日

アカデミック・ライティングの極意


3月になりました。まもなく新しい年度が始まります。春休みも目前ということで、「論文の教室」他、いくつかワークショップの準備をしています。


【論文の教室】基礎・実践編-大学生・社会人のための論文・レポート執筆講座@大阪梅田&オンライン 3/21(祝・火)|Global Agenda https://note.com/globalagenda/n/nd42033350a24


論文(あるいは仕事のレポート)というのは「研究の成果」を文書として発表することです。研究そのものが既に終了しており、書くべき内容が定まっていれば、論文に仕上げることは、実はそれほど難しくありません。このワークショップを「論文の教室」と呼んでいますが、最も困難なことは「どのように『研究』を設計するか」です。大学、特に学部は、そのための訓練の場所といえるでしょう。


問題は、日本では学部横断的な「研究の進め方」「論文の書き方」という講座がまだ一般的ではないことです。また、小学校から小論文の訓練を始める欧米諸国と違って、日本では「論理的に読者を説得する」文章を書く、という授業が設定されていません。研究に関しても、大学3年生になって研究室(ゼミ)で、本格的な研究に取り組むことになるわけですが、その場合は、指導教官から、初めて「研究の方法」を学ぶ、という形式をとることが、日本では一般的です。このやり方は、いわゆるon the job training (職場での実地訓練)のような形になるため、特定の分野の、その教員が習得した研究の手法に偏りがちになるという難点があります。


しかし、実際のところ、似たような研究テーマでも、実は分野ごとに、様々なアプローチがあり、また前提や世界観が違うと、研究者同士でも全く話がつうじないことも多々あります。しかも、今の時代、専門化が進むと同時に、学際的な研究も盛んで、特に社会科学の分野ではこれが顕著です。


研究テーマだけでなく、事前に学問分野も決めておくようにという、大学教員のアドバイスを見かけました。一方、日本人の大学(院)進学予定者にとって悩ましいのは、入学前(あるいは研究を始める前)に研究分野をマクロで観察して、自分にとってベストな選択を判断する力を身に着けるのが、かなり困難なことです。私自身も進学前はそうでしたし、このワークショップに来る参加者もそういう悩みを持っている人が多い、と思いました。



自分も学位を取った後で、別の学部のほうが、自分の研究にはフィットしていたと、気づいたくらいです。ただ、見極めが難しいのは、学際的な研究だと、研究科のトップや主要な教員が入れ替わると、(海外の場合、特に)研究科のカラーもガラッと変わるケースがあることです。


そのため、このワークショップでは、「論文の書き方(how to write up a research paper)」 よりも「何をどう研究していくのか(what to investigate in research)」を一緒に考えながら進めていきたいと思っています。論文の教室ー実践編の中で、「研究テーマの設定」を、すべてカバーすることはできないのですが、現在このユニットを追加でワークショップにする予定ですので、ご期待ください。


[ワークショップ]社会課題から研究をデザインする@大阪梅田 3/21(祝・火) 16:30~|


[ワークショップ]社会課題から研究をデザインする@オンライン 3/26(日) 20:00~|


またこの春から、ライティング・グループの集まりみたいなものもできればいいなと思っています。予定はこれからですが、案内等は以下のイベントページからご確認ください。


WritingCafe Academic Writing Group Meetup with Global Agenda


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