9/5(火)に次回9/14(木)のThe Japan Timesが支援する朝英語の会梅田のテーマが発表されました。次回朝英語の会は9/1に早くも満席になりました。秋に向けて、勉強を始めたいと思っている方も多そうですね。9/28(木)はまだ座席がありますので、お早めにお申し込みください。
さて、日本の製造業の多くが海外に移転した今、遅ればせながら日本も新たな産業育成に取り組んでいます。とりわけ、大きな関心を集めているのが観光業です。なかでも、日本には本格的なカジノが存在しないので、米国を中心とする海外資本の積極的なプロモーションもあり、2016(平成28)年末に統合型リゾート整備推進法(通称:IR推進法)が成立しました。現在、中央政府や自民党はカジノを設置する自治体を選定する作業に入っており、カジノ誘致に極めて積極的な大阪府と大阪市にもそれぞれIR推進本部があります。
首相官邸:特定複合観光施設区域整備推進本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/ir_kaigi/index.html
大阪府:IR推進会議 http://www.pref.osaka.lg.jp/irs-kikaku/suishinkaigi/index.html
大阪市:IR推進会議 http://www.city.osaka.lg.jp/irsuishin/page/0000391352.html
カジノがもたらす経済効果が議論されるのと同時にギャンブル依存症の問題や治安の悪化などの課題も上がってきています。実は日本ではそれほど報道されていないようですが、カジノの本場米国ではカジノ型リゾートの立地の規制緩和により、様々な問題が噴出しているようです。特にカジノ誘致の主要な理由として取り上げられている「経済効果」そのものにも疑問を呈するような事態になっています。その最たるものがニューヨーク近郊にあり、西のラスベガスと比較されてきた高級カジノ・リゾート、ニュージャージー州アトランティックシティの近年の凋落ぶりです。トランプ大統領がここで経営していた2つのカジノを含む多くのカジノが撤退し、町はゴーストタウンのようになっているそうです。2010年には不動産の資産価値が以前の半分にまで落ち込みました。
私はかなり以前に、ラスベガスを訪れたことがあり、街の様子は大体わかります。しかし、雑誌「The New Yorker」の記事を読んで、2000年代初頭に人気TVドラマシリーズ「Sex and the City」のエピソードでNYのファッショナブルなエリートたちが集う、華やかな大人の社交場という趣で描写されていたアトランティックシティの衰退ぶりには驚きました。
America’s Casino-Saturation Problem
http://www.newyorker.com/business/currency/americas-casino-saturation-problem
理由はずばり、全米の各州でカジノが認可されるようになり、東海岸のNY近郊の他の州でも新しいカジノが建設されるに至り、古くからあったアトランティックシティの顧客を奪っていったからです。
また、雇用やその他の経済的な効果に関しても、必ずしも地元経済にとって価値のある投資ではないという地方銀行のエコノミストの分析もあります。
Casinos and Economic Development: A Look at the Issues
https://www.stlouisfed.org/publications/bridges/winter-20022003/casinos-and-economic-development-a-look-at-the-issues
日本で最初のカジノ・リゾートは関西でオープンする可能性が高いようですが、米国の失敗例も参考にしながら、慎重に進めて行く必要がありそうです。参加者の皆さんの活発な議論を期待しています。